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プリンスエドワード島の四季

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ハリファックスとモンゴメリと『アンの愛情』

NHKで放映されていたアニメ「アン・シャーリー」は第一話しか見ることができなかったのですが、『赤毛のアン』だけではなくて『アンの青春』と『アンの愛情』の3冊が描かれていたと思います。『アンの愛情』の舞台となったのはハリファックス(小説ではキングスポート)でした。

モンゴメリは、それぞれ短いですが2回ハリファックスに住んでいたことがあります。1895-1896はDalhousie大学(小説ではレドモンド大学)で文学を学び、1901-1902はDaily Echoという新聞社で校正とコラムを担当していました。

『アンの愛情』第四章の冒頭です。
「キングスポートは英領植民地時代にまでさかのぼる古雅な町であり、それをつつむ雰囲気は、立派な老婦人が、若いころの流行とおなじデザインの衣装をまとっているさまを思わせた。そちらこちら近代化したところもあるが、心底は今なおそこなわれていない。珍しい遺蹟に富み、過去の多くの伝説が後光のようにロマンチックな光を投げている。もとは国境の荒野のへりに臨んだ宿場だったが、そのころの移住者たちの生活はインディアンの来襲で絶えず単調をやぶられていた。やがてここは英国人とフランス人の争いの的となり、イギリス人に占領されたかと思うと今度はフランス人にというぐあいで、統治者が変わるごとに相闘う国民からあらたな傷跡をつけらてきた。」

「町のむこうの丘には武装を解いた昔のフランス軍陣地がよこたわり、広場にはふるめかしい大砲がいくつか据えてある。」と描写されているのは、シタデル国定史跡です。私が行った日はたまたまクリスマスのイベントが行われて家族連れでにぎわっていました。
クリスマスを除く毎日の正午、Noon Gunが発砲されます。もちろん空砲ですが、かなりの音が鳴り響きます。
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「町の中心をしめるオールド・セント・ジョン墓地ほど野趣にとんだ、気持のよい場所はない。静かな町の両側に旧式な家がたちならび、他の方面は人通りのはげしい活気に溢れた近代的な街路となっている。(略)だいたい、これら古い墓石にはあまり技巧はこらしてなかった。大部分は荒彫りの茶色か灰色の自然石で、装飾のあとがしのばれるのは二、三にすぎない。頭蓋骨と大腿骨二個を交叉して飾りとしたものがあり、そのインキな装飾に天使の頭をとりあwせたのが、しばしば見られる。多くは倒れ、壊れている。ほとんどすべて「時」の歯にむしばまれ、墓銘が完全に消えているものもあれば、かろうじて判読できるものもある。墓地は非常にたてこんでおり、木陰が多い。にれや柳の並木が周囲をとりまき、縦横に走っているからで、その蔭で死者たちは永遠に、頭上の風と木の葉のひくい歌声を聞きながら、すぐ向こうの人通りの騒音にさまたげられず、ぐっすり眠っているにちがいない。(略)英国の巨大なライオンを戴いた素朴な、どっしりとした石のアーチをくぐって、正門からはいって行った。」と描写されているのはOld Buring Groundです。この日は門が閉まっていましたが、夏の間はアンと同じように自由に散策することができます。

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この墓地と通りを挟んで、モンゴメリが下宿していた家があります。「大きな、古風な、灰色の石造の家で、セント・ジョン通りにあるのよ。(略)あんたのは表側の部屋で、オールド・セント・ジョン墓地を見晴しているのよ。墓地はすぐ往来の向こうよ。」と、先に到着していたプリシラがアンに説明しています。

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「繻子のようになめらかな、銀ねずみいろの水がかすかに光り、かなたには剃り立てのようにさっぱりしたウィリアム島が、この町を護る頑強なブルドッグのように、霧の中から浮き出ていた。島の燈台の灯が、毒々しい星のように霧の中にきらめき、遥かかなたの水平線の別の灯がこれに応えていた。」と描写されているのは、Georges Islandです。
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『アンの愛情』には出てきませんが、モンゴメリさんが働いていた旧Daily Echo社のビルもダウンタウンにあります。

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今回は時間不足で行けませんでしたが、他にもDalhousie大学、ポイント・プレザント・パーク、パブリック・ガーデン、教会、高級住宅街などなど、モンゴメリさんや『アンの愛情』にゆかりの場所があります。

日本語訳は村岡花子さんの『アンの愛情』より抜粋させていただきました。

by abegweit | 2025-11-27 21:16 | Anne and Montgomery | Comments(0)